相続の基礎知識

税務調査

相続税は申告納税方式といって自らが税額を計算して申告する税金です。
提出された申告が正しく行われているかを税務署員が確認することを税務調査といいます。

税務調査は申告書を提出した年かその翌年に行われることが多いですが、最長で3年後に行われたケースもあります。申告された件数のうち3~4件に1件ほどが税務調査の対象になるといわれます。
申告が漏れてしまう財産は金融資産が半分以上を占め、預貯金については過去の取引履歴を照会して、大きなお金の動きがあった場合は調査対象となります。
特に漏れやすい金融資産を下に列挙します。

  • 遠隔地の預金
  • 遠隔地の預金

    居住地の近くの金融機関だけでなく、過去に住んだことのある場所や勤務先の近所、相続人の居住地の近くの預貯金も確認をします。
  • 郵便貯金
  • 郵便貯金

    郵便局には税務調査が及ばないという誤解がありますが、ほかの金融機関と同様に郵便局にも税務署は取引履歴を照会します。通帳がない証書型の貯金は漏れることが多いので注意が必要です。
  • 手元の現金
  • 手元の現金

    相続が発生すると亡くなられた方の預金は引き出しができなくなります。葬式費用に充当するために亡くなる直前に多額の現金を引き出すケースが多いのですが、その現金も亡くなった時点では現金として存在する財産のため計上する必要があります。
  • 名義預金
  • 名義預金

    これが一番注意しなければならない項目です。 名義預金とは、形式的には親族の名前で預けているけれど、実質的には亡くなった方が預けている預金をいいます。名前を借りている預金として借名預金とも言います。贈与は贈与した者の一方的な意思表示のみでは成立しません。贈与した者の「あげましたよ」と贈与を受けた者の「もらいましたよ」の意思表示が合致して初めて成立します。
    名義預金とされないためには、お金をもらった本人が通帳を作成し、本人の印鑑を使用し、本人が通帳と印鑑を保管するべきです。また贈与契約書を作成して書面で残すことや、贈与税の基礎控除額が年間110万円なので110万円を少し超える金額を贈与して税務署へ贈与税の申告書を提出することも一つの方法です。