民法改正

配偶者居住権の新設

民法

配偶者居住権

配偶者が居住していた被相続人所有の建物について、遺産分割等により、終身又は一定期間、配偶者がその建物に居住することができる権利。

新民法で創設された配偶者居住権には、2種類あります。配偶者短期居住権と配偶者居住権です。

配偶者短期居住権は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に無償で居住していれば、建物所有者に対して当然に請求することができる権利です。遺産の分割が確定するまで又は被相続人の死亡から 6 ヶ月のいずれか遅い日まで、無償で使用し続けることができます。

配偶者居住権は、配偶者の終身又は一定期間の居住を認める権利です。配偶者居住権が消滅するまで、所有権の譲渡や利用ができないこととなります。配偶者が配偶者居住権を取得するには、遺産分割か遺贈による必要があります。

相続税

配偶者居住権の評価

(1) 相続税の評価方法

1配偶者居住権(建物)

2建物所有権

  • ※1 存続年数は遺産分割協議等に定められた残存年数で、配偶者の完全生命表による 平均余命を上限とする。(6 月以上の端数は 1 年とし、6 月未満は切捨て)
  • ※2 耐用年数×1.5(6 月以上の端数は 1 年とし、6 月未満は切捨て)
  • ※3 経過年数は 6 月以上の端数は 1 年、6 月未満は切り捨てる。

3配偶者居住権(敷地に対する権利) ※4

  • ※4 敷地に対する権利は、小規模宅地等の特例の対象とする

4土地所有権

事例

前提条件

1. 夫に相続が発生し、遺言書に配偶者居住権を配偶者に遺贈すると記載
2. 妻、夫死亡時85歳
3. 自宅 建物相続税評価額 1,500 万円(木造・築15年)
4. 自宅 土地相続税評価額 2,000 万円
5. 長男が自宅の建物・土地を相続する。妻は自宅に居住を続ける。

(1) 建物所有権(長男)の評価

  • (注 1) 居住権の存続年数 85 歳女性の平均寿命・・・8.30 年(6 月以上切上,6 月未満切捨)
  • (注 2) 複利現価率 年利率 3%のときの 8 年の場合・・・0.789

(2) 配偶者居住権(建物)の評価

(3) 土地所有権

(4) 配偶者居住権(敷地に対する権利)

(5) 配偶者居住権(土地・建物に対する権利の合計)

(6) 所有権

この改正は、令和2年4月1日以後に開始した相続について適用されます。